久恒病院ではどんな治療をするの? 

治療の流れ

問診で、何も原因がなく自然に痛くなったのか、または、手や肘を突く などの外傷の有無、労働での刺激の有無などをお尋ねします。

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1

診察で、圧痛や自発痛(安静時痛、夜間痛)がどこにあるか調べ ます。肩峰下滑液包、腱板、長頭腱、棘下筋などの痛みの頻度が 高いようです。

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2

肩の関節の可動域を計測します。

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3

腱板の筋力や神経学的に異常がないかを診察します。頸椎や神経 の異常から来たものではないことを知るのは重要です。

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4

レントゲン検査では、骨に異常がないかを調べます。肩峰に骨棘が ないか、大結節および小結節に変形がないか、肩甲骨臼蓋に変形 がないか、上腕骨頭の異常像がないかを読影します。 超音波検査では、腱板に傷や炎症がないかどうか調べます。レント ゲン検査と同様に痛くない検査です。また、肩峰下滑液包に炎症が あるかどうかも読み取れます。その場合、抗炎症薬の使用を考え ます。注射する場所も検討されます。

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5

腱板損傷の有無が治療の効果を左右します。腱板損傷が疑われ れば、MRI検査を勧めることになります。

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6

血液検査も重要な情報が得られます。炎症の程度を知ることが出来 ます。関節リウマチのような炎症性疾患を診察することも出来ます。 尿検査とともに糖尿病の既往がないか調べます。糖尿病と肩の痛み には関係があると報告されています。

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7

以上より診断をします。

どんな保存療法があるの?

基本的には、リハビリによる保存療法が第一選択です。理学療法士 が温熱療法を行い、腱板の筋力を強化します。そして、肩の関節 可動域を改善させていきます。もし、炎症が強い場合は抗炎症薬 などを投与します。それでも痛みが改善しない場合はヒアルロン酸や ステロイドの注射を加えます。 この治療を4週間くらい続けていると痛みが改善していくのがわかり、 同時に可動域も改善していき、回復が見えてきます。残念ながら 症状の改善がなく、夜間痛が激しく、内服薬や座薬も効かず、毎日 眠れないほど苦しんでいる方には関節造影検査を行います。このよう な方の造影所見は、関節内の炎症が強いうえ、関節包が縮んで造影 剤が拡がらない状態になっている場合がほとんどです。このようなケース では、本人が希望すれば入院してもらい、手術療法に変更します。

どんな手術になるの?

診断が肩関節拘縮であった場合の手術は全身麻酔で行います。 (患者さんは眠った状態です。)手術手技は全て内視鏡下で行い ます。内視鏡は径4mmの関節鏡で、電気メスを使用し、約10mm の傷4ヵ所の手術創で手術します。関節を整理食塩水で満たして、 関節鏡を挿入します。関節鏡で見ながら、縮んだ関節包や烏口上 腕靱帯を電気メスで切離します。次に、縮んで癒着した肩峰下滑液 包の癒着を剝がします。次に徒手受動の手技を行います。術前は 他動的に全く動かなかった肩関節が少しの力で他動的に動きます。 手術直後よりリハビリが開始されます。術前の罹病機関が長期でない 場合には、術後3日以内には術前の症状は改善し、術後3週には 退院となります。こんなに痛みが取れるのなら早くしておけば良かった と言う人もいます。

腱板断裂の場合は?

腱板断裂に対する内視鏡手術は当院で最も多く行われている手術 です。MRIで腱板断裂の診断がついた場合は、それに対する保存 療法と手術について、外来診察時に担当医が説明します。