久恒病院ではどんな治療をするの?
治療の流れ
問診で、何も原因がなく自然に痛くなったのか、または、手や肘を突く などの外傷の有無、労働での刺激の有無などをお尋ねします。
診察で、圧痛や自発痛(安静時痛、夜間痛)がどこにあるか調べ ます。肩峰下滑液包、腱板、長頭腱、棘下筋などの痛みの頻度が 高いようです。
肩の関節の可動域を計測します。
腱板の筋力や神経学的に異常がないかを診察します。頸椎や神経 の異常から来たものではないことを知るのは重要です。
レントゲン検査では、骨に異常がないかを調べます。肩峰に骨棘が ないか、大結節および小結節に変形がないか、肩甲骨臼蓋に変形 がないか、上腕骨頭の異常像がないかを読影します。 超音波検査では、腱板に傷や炎症がないかどうか調べます。レント ゲン検査と同様に痛くない検査です。また、肩峰下滑液包に炎症が あるかどうかも読み取れます。その場合、抗炎症薬の使用を考え ます。注射する場所も検討されます。
腱板損傷の有無が治療の効果を左右します。腱板損傷が疑われ れば、MRI検査を勧めることになります。
血液検査も重要な情報が得られます。炎症の程度を知ることが出来 ます。関節リウマチのような炎症性疾患を診察することも出来ます。 尿検査とともに糖尿病の既往がないか調べます。糖尿病と肩の痛み には関係があると報告されています。
以上より診断をします。
どんな保存療法があるの?
基本的には、リハビリによる保存療法が第一選択です。理学療法士 が温熱療法を行い、腱板の筋力を強化します。そして、肩の関節 可動域を改善させていきます。もし、炎症が強い場合は抗炎症薬 などを投与します。それでも痛みが改善しない場合はヒアルロン酸や ステロイドの注射を加えます。 この治療を4週間くらい続けていると痛みが改善していくのがわかり、 同時に可動域も改善していき、回復が見えてきます。残念ながら 症状の改善がなく、夜間痛が激しく、内服薬や座薬も効かず、毎日 眠れないほど苦しんでいる方には関節造影検査を行います。このよう な方の造影所見は、関節内の炎症が強いうえ、関節包が縮んで造影 剤が拡がらない状態になっている場合がほとんどです。このようなケース では、本人が希望すれば入院してもらい、手術療法に変更します。
どんな手術になるの?
診断が肩関節拘縮であった場合の手術は全身麻酔で行います。 (患者さんは眠った状態です。)手術手技は全て内視鏡下で行い ます。内視鏡は径4mmの関節鏡で、電気メスを使用し、約10mm の傷4ヵ所の手術創で手術します。関節を整理食塩水で満たして、 関節鏡を挿入します。関節鏡で見ながら、縮んだ関節包や烏口上 腕靱帯を電気メスで切離します。次に、縮んで癒着した肩峰下滑液 包の癒着を剝がします。次に徒手受動の手技を行います。術前は 他動的に全く動かなかった肩関節が少しの力で他動的に動きます。 手術直後よりリハビリが開始されます。術前の罹病機関が長期でない 場合には、術後3日以内には術前の症状は改善し、術後3週には 退院となります。こんなに痛みが取れるのなら早くしておけば良かった と言う人もいます。
腱板断裂の場合は?
腱板断裂に対する内視鏡手術は当院で最も多く行われている手術 です。MRIで腱板断裂の診断がついた場合は、それに対する保存 療法と手術について、外来診察時に担当医が説明します。